髭は一度伸ばしてみるといいかもしれない

生まれた瞬間に髭が生えている男はいない。

どんなに早くても小学生高学年あたりにならないと髭は生えないだろう。

 

髭がないということが男のデフォルト状態になっている。

そのため、髭を生やすことには心理的あるいは社会的障壁が生まれるのである。

 

そう、髭を生やすのは普通ではない。

この社会で普通に生きているなら髭が必要になることはほぼない。

基本的に髭はないものとして扱われている。

 

しかし、実際には大人になればほぼすべての男に髭が生える。

髭を伸ばすことは普通ではなくても髭が生えることはいたって普通のことなのである。

けれど、髭は剃らねばならない。

 

この社会がそれを常識とみなしているからである。

これに従いたくなければ、社会人を一旦やめるか、髭を生やしてもいい職に就くしかない。

 

 

この社会にはあらゆるルールがある。

誰が決めたかもわからない、守る必要性があるかもわからないルールが腐るほどある。

本来は、ルールを守った先になにか目的があり、秩序を保てるからこそ意味がある者であった。だが、それらはすべて形骸化し、むしろ我々の足枷となってしまったようだ。

 

 

髭剃りはその代表例だろう。

毎日あれほどの面倒な作業を続けないといけないと思うとめまいがしてくる。

それでも人はそんな苦痛に慣れてしまう。

慣れざるを得なくなる。

 

 

そこで私はこの社会に一つの提案をしたい。

一度髭を剃ることを禁止するのだ。

 

そうして髭が伸び放題になって、男に髭が生えていることが当たり前の世の中にいったん変えてしまう。

そして、一定の期間が過ぎたら、

「剃りたい人だけ剃ればいい」というルールを新たに設ける。

 

すると、どうなるだろうか。

私の予想では、ほとんどの人が髭をあまりそらなくなるはずだ。

邪魔だ、迷惑だ、と思っていたのは社会がそう思い込ませていただけで、実際には必要なのである。

もったいなくて髭を剃れなくなる男が大半を占めるようになるだろう。

 

そう、一度髭を生やしてもいいルールを適用すれば、髭に対する偏見のない社会に生まれ変わるのだ。